四月。

ここ城丘小学校では始業式が行われ、児童は皆新しい教室に向かっていった。その中で一際目立つ児童がいた。

なぜ目立つのか。

歩けば『ふわっ』『さらっ』といった擬音がつくやや栗色の髪。

整った顔立ち、笑顔はまるで女の子のようで、話せば優しく甘い声。

しかも、毎年学級委員に選ばれるほどリーダーシップがあり、成績優秀、運動神経良し。友好関係も良く彼を悪く言うものはいまだかつていない。

そんな彼の名は大ノ宮勝未。今年5年生に進級した。

「起立、礼、着席。」

先生の号令で新しい席に着く。クラスは5組。出席番号は3番。前にいる人とは初めて同じクラスになった。

(どんな人だろう)

勝未は少しワクワクしていた。