彼が仕事を終え帰路につくと、今日は何の日だったかを思い出し、いつもは通らない道を通った。

そうして彼は時を忘れ、ぶらりと訪れた店は繁盛しているとは言い難いが安らげるような雰囲気がとてもよい喫茶店だった。

The land of free

それが店の名前だった。

そこでは緩やかなジャズが流れており、懐かしい思いを誘い、時折彼の心を苛立たせた。

そんな眩暈を起こしそうな不安定な状態で彼はカウンターに座り紅茶を飲んでいた。

カップの中身が半分を切った所で、マスターらしい人が一つ合図をした。

すると店の奥から長身で細身の青年がマスターに歩み寄った。